詩集 老いの検索

奥田 和子(おくだ・のりこ) 


 家ごもり 暇つぶしに
手の甲を眺める
なんと 指に
バラが咲いている
しわという名の
八重の花びら

転々と まだらに
薄紫の 小さな花
しみという
絶滅危惧種らしい

盛り上がった交通網
インク色
枝分かれし
信号も点滅

静脈という名の
高速道路


――『自粛』


老いていくことの不可逆であり平等な状態を、ユーモラスな筆致で描いた一冊。


嫌ですねえ

疲れますねえ


――『老い』より

【著者プロフィール】
奥田和子(おくだ・かずこ)
北九州市に生まれる
甲南女子大学名誉教授
詩誌「季」の同人
詩集『小さな花』 (一九九二年編集工房ノア)
詩集『靴』 (一九九九年編集工房ノア)
詩集『クララ不動産』 (二〇〇四年編集工房ノア)
詩集『独り寝のとき』 (二〇一五年宮帯出版)