差別するな。殺すな。無闇に戦争するな。
(非戦集団の物語と現生人類への提言)
早坂征次 著
人類はなぜ、戦い、殺し、差別してきたのか。
本書は、人類史・東アジア史・宗教史・戦争史といった史実の大きな流れをたどりながら、その隙間隙間に、非戦を選び続けた人々の語りを差し込むことで、人間の倫理と選択を問い直す一冊である。
そこに登場する非戦集団〈阿族・阿丸党〉は、歴史を動かした英雄でも、史実の裏で世界を操る存在でもない。
戦争と殺戮が避けられなくなるたびに表舞台から身を引き、「差別するな。殺すな。無闇に戦争するな。」という言葉を守り続けてきたと語られてきた集団である。
また本書では、〈阿族・阿丸党〉という名で呼ばれる語りの源泉を通して、血脈や歴史神話、選民思想がいかに人間を縛り、戦争や差別を正当化してきたかが繰り返し見つめ直される。
それは人物伝というよりも、人類が抱えてきた思想と欲望を映し出すための視点である。
英雄譚でも、単純な平和論でもない。
戦争が生み出す高揚と狂気、それを支えてきた価値観や制度を、史実と語りの往復によって淡々と解体していく。
読みやすい本ではない。
繰り返しや余話が多く、論は遠回りする。
しかしそれは、問いを簡単に終わらせないために選ばれた書き方でもある。
思想書であり、物語であり、そして一人の語り手が「どうしても残さずにいられなかった思索の記録」である。
本書は、人類の歴史と倫理について、自分の頭で考え続けたいと願う読者にとって、長く心に残る一冊となるだろう。
【目 次】
第一編 非戦集団(阿族・阿丸党)の物語。(その一、活躍)
第一話~第二十九話
第二編 非戦集団(阿族・阿丸党)の物語。(その二、低迷と苦悶。北東アジアの近現代史)
第三〇話~第六〇話
第三編 非戦集団が検索した宇宙。地球。人類。殺戮。平和と人類への提案。
第六一話~第六八話
資料
文献
書評
あとがき
著者略歴
【著者プロフィール】
早坂 征次(はやさか・せいじ)
一九四四年宮城県志田郡三本木町(現、大崎市)生まれ。古川高卒。東北大医学部卒。東北大大学院医化学(菊地吾郎教授)。東北大眼科(水野勝義教授)。Yale大学眼科視科学(Prof.M.L.Sears)。島根医大眼科助教授(瀬戸川朝一教授)。富山医薬大教授(高久晃学長)。富山大学名誉教授。
〔書籍情報〕
Kindle版
出版日:2026年1月12日
価格:1000円(税込)
リフロー型