詩文集 

わたしのいない朝

新藤 准子 編


「つながっている
 穴のあいたセーターを
 つなぎ合わせてつくろうような
 ささやかな人生だが
 つながっている」
 ——「つながっていることを」より

失ったもの、すれ違った日々、それでもなお残された日常を、手のひらに包むように見つめる言葉たち。
本書『わたしのいない朝』は、新藤准子による、人生のひだに触れる詩と小文の詩集です。

たとえば、子どもの頃の記憶と現在の心情が交錯する詩「消しゴムとエンピツ」では、こう語られます。

「エンピツよりも消しゴムが
 好きになっていた
 書いては消し
 書いては消し
 また 書いては消して大人になった」

そこには、言葉にならない思いを抱えながら歩いてきた著者自身の姿が、そっと滲みます。

配偶者を亡くした後の日々を描いた「かくれんぼ パートⅡ」では、幼いころの遊びが、大人の孤独と哀しみへと重なります。

「あのこはどこ
 わたしはいまも
 オニのまま」

家族を思い出すことが、自分を見つめることと重なる。そんな時間を、読む者もまた自然に過ごすことになる詩集です。

生きていくことの切なさとあたたかさ、懐かしい記憶の匂い。
日々のなかで見過ごしがちな一瞬一瞬が、確かなことばとなって立ち現れます。

ひとり静かにページをめくりたい時、ふと心が誰かを求める時——
本書はきっと、あなたに寄り添ってくれるでしょう。

 


〔書籍情報〕
Kindle版
出版日:2023年11月14日
価格:880円(税込)
固定レイアウト型


〔著者略歴〕
新藤准子(しんどう・じゅんこ)